ゴミ屋敷を何とかしたいと思ったら、清掃業者に頼むのが一番です。
なんて言ってしまったらそれで解決、はい終わりなんですが。
テレビでよくあるゴミ屋敷とか、汚部屋などの話題を見て「なんでこんなことになるのかなあ、もう業者に頼んだらいいのに」みたいなノリで言っているわけではなく、
実際に私がそのステージに立たされて実感した結果からそう思います。
その経緯はこちら
父ひとり子ひとり。戦うものは病気だけではなかった~脱・親不孝の呪縛~ - ウミガエルの半生記
恥ずかしい。というオバケ
一部の悪意のある人や、趣味でそういう環境にしている方々は置いておくとして。
ゴミ屋敷になってしまっている方々の中で多くの人は、恐らく何らかの問題を抱えていて、それが病気やケガや体に不自由な原因があったり、悩みやストレスなどで心の状態が良くなかったり、単純に忙しさに翻弄されていたり。それぞれの理由があって不本意でそうなっているのかなと思います。
自分でもどうしようもなくなってしまって、何とかしたいと思っていても結局何もできずどんどん悪化してしまう。冒頭で言うように、業者に頼むことも考えてみるけど、どうしても自分に負い目があるため「恥ずかしい」と「情けない」みたいな感情が芽生えてしまってなかなかできなかったりするのではないでしょうか。
恐らく、父もそうだったんだと思います。
声が出ないと叔母からきいて、父に電話をした時に「とりあえず私がそっちに行くから」と伝えた時も、かすれ過ぎて聞き取れないため何を言っているかわからない。
だから何度も「明日9時にそっちに行くから。いいね?」と、「うん」だけ言えばいいようにしたのに、「うん」ではなくやっぱり何かを言っている。
そして何度かのやりとりでわかった言葉は「それは困る」ということ。
娘に来られたら困る。
確かに確執はありますが、父は基本的におとなしい性格です。これは「お前なんて来るな!」というたぐいの話ではありません。困るというのです。
その後電話口で悪戦苦闘して理由がやっとわかりました。
「恥ずかしい」のです。
かつては父親だった自分の今の暮らしぶりを、娘に見られるのが恥ずかしいのでしょう。私は何とも言えない気持ちになり涙が出そうになりましたが、そんなことを言ってる場合ではないので、半ば無理やり行くということを納得させて電話を終えました。
そういえば思い出しました。かなり以前の話なんですが、ある問題・・・またいつかお話できるかなと思いますが、が起きた後一度父に訪問ヘルパーをお願いしてはどうかと話した時がありました。費用は私がもつからと。
それに対しての答えも同じく「恥ずかしいから」というものでした。
とはいえ、のちにゴミ屋敷になった理由のひとつに、それだけではない父特有の理由(少し笑える)もありましたけども。それ言っちゃうとちょっと話逸れるのでやめときますね。
さて、ゴミ屋敷を何とかせねばなりません。しかも、父の退院する朝に父の意思に沿って①全撤去して退院後は違う住居でいいのか②退院後はどうしても戻りたいのか(最低限の暮らせる空間をつくる)
を決定し、その時点の依頼でその当日に作業にかかれて、1日で完了できること
ハードル高っ!
清掃業者はよりどりみどり?
とりあえず『ゴミ屋敷 清掃 ○○市』で検索すると、あるわあるわ。驚くほどの数の業者がヒットします。今まで検索したことのないワードなのでびっくりしましたよ。
世の中にはこんなにゴミ屋敷バスターズがいるんだね!
しかもサイトを読む限り「即日対応」とか「LINE登録で気軽に即相談」のような、今時に有難い業者など色々、よりどりみどりではありませんか。
そうなると、少しでも費用を低く抑えたい。比較検証のターンがやってきます。
とはいえ時間は限られていますので、電話のみの対応で営業時間に限りのあるところはできるだけ早く電話。LINEやメール対応のところはとりあえず相談の一報だけ入れる。24時間対応や、営業時間の遅いところは後で、という優先順位をつけ始めます。
ということで検索と電話の鬼と化して取り組む私なのですが、実際は父の病状とゴミ屋敷の現状を目の当りにしたショックで精神的なダメージも大きく。
電話口で事務的な冷たい対応をされたり、雰囲気でもう忙しいというのがわかるような「はい、○○ですが!」の第一声だけで、もうちょっと話すのが嫌になってきたりしてました。
「即日対応」とうたっていた業者も、実際は一週間埋まってまして無理です。とか。
(今、ゴミ屋敷が増えている情勢なのかもしれませんね)
「LINEで気軽に即相談」とうたっていた業者なんて、何の反応もなかったり。
それでもなんとなく費用感がわかってきまして。
父のボロ屋は長屋で、ボロボロながら予想外に広く、今風に言うと2LDK。ゴミ山の奥に比較的まだきれいなお風呂が出てきたときは少し驚きました。お風呂、無いと思ってたからね!これ、そこまで汚れてないところ見ると長いこと使ってなかったでしょ!
そうなると、相場は20万~50万ということ。
幅が広いのはゴミや家具等のトラックの積載量で変わるからです。それで計るということはだいたいどこも同じようなので、もう細かい料金ではなく、単純に心にやさしい業者を選ぶことにしました。
もちろん、私もそんな裕福ではありません。なけなしのお金ではありますが、自分の心のケアの方が今は大事です。本能がそう叫んでいます。
そこでたどりついたのがこちら。
お金の心配より、心の心配を
大阪の、とうたっているだけに大阪では即日対応の可能性が高そうです。
なにより、電話口に出られた「高田さん」の対応で私は決めました。
電話をする時、別にこちらの事情を話す必要はなかったのかもしれないし、やってもらいたいことを端的に伝えて、それができるのか、幾らかかるのか、だけでよかったのかもしれません。
でも私は結構無理なお願いをしようとしているのだから、こちらの置かれている状況を説明する必要があると思いましたし、誰でもいいから聞いてもらいたいという気持ちも少しあったのかもしれません。
高田さんは、そんな私の気持ちを汲み取ってくれたのか、忙しいでしょうにゆっくりと「そうなんですか・・・」と感情を込めた相槌を打ちながら聞いてくれました。
そしてこちらの心配ごとには「大丈夫ですよ」とか「そういうことはよくあることです」など、頼もしい返答を終始優しい口調でしてくれます。
当日の朝に、依頼するかしないかも、そして依頼内容も変わるかもしれない。という無理難題にも最大限の努力をしてくれるということでした。
高田さんの心ある対応と、業者のめどが立ったことでかなり救われました。
そして父の退院の当日。病院レストラン・ミーティングで決定したミッションがスタートします。
まずは、業者に依頼決定の電話を入れたところ、14時くらいには取り掛かれるとのこと。そこで一旦親戚の家に父を送り休ませてもらいます。ただ親戚は12時半頃までデイサービスに出かけているので、それまでは親子ごっこを楽しみながらホテルの予約をします。ホテルのチェックインは15時から。
父との移動はタクシーです。12時半に父を無事親戚の家へ送り届け、その親戚ともずいぶん久しぶりなので少し会話をして、ゴミ屋敷に向かいます。
親戚の家とゴミ屋敷は徒歩で30分ほど。私ひとりの移動は徒歩にします。しかし暑い!!!
ゴミ屋敷を目の当りにするのは昨日から2回目ですが、衝撃はあまり変わりません。業者が到着、何を残しておくか(大事そうな書類と数点の家電のみではありますが)を相談しましたが、「本当に汚くて臭いんです、すみません」という私に「全然大丈夫ですよ!慣れてますし!」とスタッフの方2名も若い方ですがとても明るくて印象の良い方でした。
そこで昨日の高田さんの対応を思い出し、思わず「電話対応してくれた高田さんという方がとても良くて、だから御社に決めたんです」と話すと、「あ、それは父です。僕高田です(笑)ありがとうございます!」と照れておっしゃってました。気持ち良い業者だな!と改めて思いましたよ。
そしてざっと見積を・・・
しめて約50万円!
・・・おおおお、最大にいきましたか・・・。
もっと安いところもきっとあるでしょう。でもいいんです。この高田親子の業者にお願いすることに、私は決めていました。
ただ、やはり物量的に1日では終わらないとうことで、今日はまずゴミをまとめること。そして明日に搬出し、明日の夕方には終わるという流れになりました。それは致し方ありませんね。
なので、一旦私は親戚の家に戻り父の様子を見ます。
親戚にもお菓子か何か買っていこう。
あ、父の向かいの家もお世話になっていたらしいのでお菓子を持って挨拶を。
17時頃には今日の作業を終了するので立ち合います。30分の距離を往復で汗だくになりながら、それでも「脱・親不孝」のプラカードのおかげで全然乗り切れました。
作業終了の立ち合い後、親戚の家から父を病院近くのホテルへ送ります。
ホテルでの設備の説明をしたり、食事の用意をしたりして夜遅くに私は自宅に帰りました。やっと一段落ついたかのように思われましたが、ずっと感じていた心配ごとがだんだん大きくなってきます。
ホテルの部屋のドアは自動ロックです。鍵を持つのを忘れると締め出されます。
よくあるコメディ映画だと笑えるシーンなのですが、父に起きると洒落になりません。
ホテルの受付に説明したのですが、そんな高齢者の面倒を見るシステムがそもそも普通のホテルにあるわけはありません。
父はまだ比較的元気で、歩いてコンビニにも行くと思われます。
認知症ではないですが、80歳の記憶力や思考回路がどういうものなのかというのは、私には未知数のものです。
地理的にも父の地元なので、知らない土地でもないのですが、やはり心配です。部屋番号、ホテルの場所など、一旦外出して戻れなくなったら?
あと、バスルームへ入る段差!!やたら高いじゃないですか。あれは何とかすべきですね。高齢者でなくても危ないと思いますよ。
ホテルでの8日間を父が選んだのですが、この状況、考えれば考えるほど心配になるじゃないですか。とはいえ明日私は朝から外せない仕事もあり、自宅に戻らないといけません。刻一刻と心配は募っていきました。
あら、また長々となりましたね。
次回はその後、その心配を解決するためまた走り回りますよ。
ここまでお読みいただいてありがとうございました。
最後に。
ゴミ屋敷問題にもし頭を悩ませている方がいたら、ぜひ専門業者に相談してみてください。きっと世の中にはたくさんの同じ境遇の方がいらして、そんな悩みを解決している業者さんもたくさんいるはずです。
恥ずかしいなんて、そんなことは全く思わなくてもいいんです。
業者さんはその道のプロ。
あなたに寄りそってくれる業者さんもきっとあると思います。
バンザイ!ゴミ屋敷バスターズ!